パンダでもわかるDS-10[49] -FMについて!-
ファミマは置いといて。
DS-10の中の音つくりでいう「FM」ってなあに?■FMシンセシスについて簡単に。
FMシンセの音作りというと非常に難しく考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、DS-10で可能な範囲は非常にシンプルで、一般的にFM音源やFMシンセと呼ばれる4オペ・6オペを様々なアルゴリズムで組み合わせて変調に変調を重ねるタイプの複雑なFMシンセのソレとは全く次元の違うものです。
FM(Frequency Modulation)=周波数変調ということでFMという言葉を使いますが、超簡単に言えばビブラートもその一種。DS-10には親切にMGというセクションに(VCO1、2とは別に)低周波のオシレータが用意されていて、これを使ってVCO1、2のピッチを変調するとビブラートになります。(MGは音として直接聴くことはできません。)
ピッチ(周波数)を変調するのでFM・・な訳ですが、一般的にはモジュレーション・ソースの周波数が可聴範囲よりも低い場合はビブラート、可聴範囲くらいまで周波数が高いとFMと呼ぶ場合が多いようです。(シンセ好きには、この場合クロスモジュレーションという呼び名の方がしっくりくるかもしれません。不安定な本物のアナログオシレータ同士の変調の場合、音程演奏に使えるような規則的で安定したFM変調が難しかった為なのか、名称に関する大人の事情なのかこの機能をクロスモジュレーションと呼ぶことがあります。)
と、言うわけでDS-10では特にFMシンセシスという方式を使用する必然性や自由度もそれほど高くはなく、基本的には通常のオシレータの組み合わせだけでは得られないような金属的な倍音を持った響きが欲しい時に使えるワザ!程度に考えておくと良いかと思います。■実践
DS-10のMGはFREQ(周波数)を最高にしても、それほど高周波にはなりませんので、FMらしい音作りをする為には、MGの代わりにVCO2(下段にあるVCO2という端子を使用します。これはVCO2のアウトプットです。)を使ってVCO1を変調すると良いでしょう。
【音色例:FMらしい金属的な響きを持ったベル・エレピのような音色】
VCO2のアウトをVCO1のPitch INに接続し、赤枠のツマミでかかり具合を調整します。
それぞれの画像の赤枠部分の設定が音色を決定付けます。
VCO1をVCO2で変調しているので、当然ぶつけ合っている双方の波形の種類によっても音色は変わりますし、VCO2 PITCHの音程を微妙に濁らせるように探って行くことで金属的で複雑な倍音が生まれます。このVCO2PITCHのツマミ位置は実際に何か音符を打ち込み、音を鳴らしながら微調整しましょう。同様に上画像の赤枠のツマミが変調の深さを決めますので、これも実際に音を聞きながら探るのが良いでしょう。
ちなみに音色例では、金属的な響きが分かりやすいように、この音色全体の音程も高めに設定してあります。この点は使用時に演奏する音程によって変化しますので任意ですが、下画像の左上のOCTAVEツマミが最高になっている点にも注目してください。■応用
DS-10のPatchセクションには、VCO1/2両方のピッチを変調するPITCH IN、VCO1、2のみそれぞれのピッチを変調(VCO1 PITCH IN、VCO2 PITCH IN)というパッチング入力端子がありますので、例えば前述の音色例と同じくVCO1 PITCH INと下段にあるVCO2を接続し、さらにVCO2 PITCH INにEG、PITCH INにMG WAVE OUTのいずれかの波形を接続し、それぞれのFREQ(周波数)、各PITCH IN上にあるかかり具合のつまみ、EGを調整し、さらにモジュレーションソースとして使用しているVCO2自体の音もBALANCEツマミを使って少し混ぜるなどすると、FM的な特徴を持ち、時間軸で様々に変化する強烈な音を作ることができるかもしれません。
またDS-10では、MGはキーフォロー無し、VCO2は常にキーフォローが有効という特徴があります。つまり、鍵盤画面で弾いたりシーケンサーで鳴らしている音程情報に対してVCO1、2の音程が常に追従するということです。FMシンセシスが楽しくなってくると、VCO1の音程を変化させても、VCO2の音程は一定にキープしておきたいというような欲が出てくることがあるかもしれませんが、その場合はVCO2の代わりにMGを活用すると狙った音になる可能性があります。
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